2015年01月19日

書籍紹介

Più da vicino / Luigi Castiglioni

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イタリア、リミニに工房を持ち活躍しているルイジ カスティリオー二氏の作品細部の写真を集めた作品集が出版されました。
『Più da vicino / Luigi Castiglioni』180部とH.C.30部の限定版。いただいたメッセージより引用します。

『製本家、箔押し師として、私は10年以上に渡り高いレベルでのプロの技術を磨いてきました。
そして、世界中のお客様や書籍商のために作品を作り続けてきました。
その中で、洗練された仕上がりと本に対する敬意、注文主への配慮、伝統との対話、技術革新、それらすべての融合を目指すという美学を貫いてきました。

この作品集を上梓することにより、私の製本家としての歴史の一部を皆さんと分かち合いたいと思います。
お楽しみいただければ幸甚です。より詳細な情報をご希望の場合はご用命下さい。』

ウェブサイトにも本に収められた作品の制作工程などが掲載されています。
あわせてどうぞご覧ください。
http://www.luigicastiglioni.it

(藤井)
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2014年12月17日

書籍紹介

『バチカン図書館のリンプ製本』


 スエーデンの製本家モニカ・ラングェ(Monica Langwe)さんのホームページhttp://www.langwe.se/enから購入することができる。ここで言うリンプ製本とは、文書類の製本に使われた接着剤をほとんど使っていない各種の製本を含んでいる。80,000点の写本と1,100,000点の印刷本の蔵書で知られるバチカン図書館のコレクションから、11点のリンプ製本の構造・綴じ・材料をカラー写真と図版を使って詳しく解説している。巻末にはシュン・エヴラールさん、カルメンチョ・アレギさん、ヘディ・カイルさんを含む欧米の製本家によるリンプ製本の作品が掲載されている。
 同じシリーズの『タリン文書館のリンプ製本』」はエストニアのタリン市立文書館のコレクションから、8点のリンプ製本について解説している。巻末には8人の製本家による作品が掲載されている。『10人のブックアーチスト』というカタログも魅力的である。伝統的な製本構造とは別個の発想で作られた製本作品はオリジナルな想像力にあふれている。いずれもホームページから直接購入出来る。ドルまたはユーロの支払いを選択出来て、カードまたはPayPal(ペイパル)による支払いが可能である。
 ホームページには、モニカ・ラングェさんの他の作品やリンプ製本のワークショップの予定などが掲載されている。アルバムやスケッチブックのように貼ったり、付け加えたりできる構造の作品が多いのが特徴である。


(岡本)
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2014年08月19日

書籍紹介

紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている
再生・日本製紙石巻工場

佐々涼子 著 早川書房 2014

3年前の3月、紙が足りないと騒がれていたことを覚えていますか?東日本大震災で、日本の出版用紙の約4割を担う日本製紙の主力工場である石巻工場が壊滅的被害にあったのがその理由でした。本書は、その日本製紙石巻工場の再生までの道のりを描いたドキュメンタリーです。
話は地震当日と直後の混乱した状況、誰もが「工場は死んだ」と思ったという工場の被害状況に始まります。そして読んでいる今でさえ無謀と思える「半年復興」に向けてそれぞれの持ち場で黙々と働いた従業員の姿が描かれ、工場再生の象徴となる8号抄紙機の初稼働へとつながります。語られた従業員の言葉からは、直面した困難や苦悩、さまざまな葛藤や悔しさなどが滲み出ます。そして同時に、自分たちが本の紙を造っている、日本の出版界を支えている、という職人としての矜持が感じられます。
本への関心が高い倶楽部会員の皆さんの中でも、それほど多くの紙が石巻で作られていることを震災で初めて知った方も多いのではないでしょうか?恥ずかしながら私もその一人です。もっと言えば、毎日本を手にしていながら、本の紙がどこで作られているかを考えてみたことすらありませんでした。だからこそ、この再生の物語は読んでおきたいと思いました。
本書に使用された紙はすべて石巻工場で作られたもので、巻末には使用された紙が記載されています。また、当面は電子化の予定は無いそうです。ぜひ、石巻工場8号抄紙機で作られた本文用紙の手触りを感じ、その紙に関わった土地や人々に思いを馳せつつお読み下さい。石巻で職人達によって「つなげ」られた紙への思いは、きっと読者の手や心にもつながっていると感じられることでしょう。
なお、本書の売上の3%は、石巻市の小学校の図書購入費として寄付されるとのことです。


(佐藤)
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2014年03月18日

BOOKS

堀米薫 『思い出をレスキューせよ!“記憶をつなぐ”被災地の紙本・書籍保存修復士』

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くもん出版 2014年2月、四六判ハードカバー 112頁 1400円+税 
「東日本大震災を語り継ぐ物語」として、会員の金野聡子さんを主人公にした児童向けノンフィクションが発行されました。
『おかえりプロジェクト』のお話も出てきます。

(編集室)
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BOOKS

貴田 庄『西洋の書物工房』

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朝日新聞出版、2014年2月、四六判ソフトカバー、243頁+15頁、1400円+税
2000年に芳賀書店から出版されたが、「あとがき」によれば初版800部、増刷350部が刊行されたのみで絶版となった。最近では古書価が出版時の定価の3倍ほどになっていたと聞く。入手しにくかった本が朝日選書の一冊として装い新たに出版された。西洋の製本について歴史的、理論的にきちんと解説した日本で最初の本である。著者は映画関係の著述で知られているが、1970年代末にパリとブリュッセルで本格的にルリユールを学んで帰国した。マーブル紙作家としても知られている。実際に手を動かして制作する作家らしく製本をモノとしてとらえる視点は現在でもとても参考になる。本を構成している紙や革、金箔、などの材料の歴史や特性を詳しく解説し、小口装飾やはなぎれ、見返しなどについての論考は読んでいて実に楽しい。豊富な写真と図版が読む人を飽きさせない。旧版はB5の大きな本でゆったりとした組版で読みやすかったが持ち運びには不便だった。今回は四六判と小さくなったがあまり窮屈さを感じない。むしろ、どこにでも持ち運びしやすく、片手でページを繰る事が出来て、気軽に読めるのは大歓迎である。製本についてもっと深く知ることの出来る一冊である。電子版もある。



ランバロス・ジャー 市川恵里 訳『水の生きもの』

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河出書房新社、2013年10月、B4変形(235×370ミリ)
ハードカバー、化粧函入り、28ページ、シリアル・ナンバー入り、3990円+税
とてもうつくしい本である。インド東部ビハール州に伝わるという民族絵画の一種ミティーラ画の絵本。まず大きさにびっくりする。函から出すと横長の本だが表紙とページを上方向にめくる。表紙見返しの色と線の鮮やかさが普通じゃない。そっと触るとインクの凹凸を指の下に感じる。そして絵本のページはインドの手漉き紙にインドのシルクスクリーン工房で作られたオリジナル版画である。手漉き紙と印刷インクの匂いが鼻を刺激する。しかし絵を構成する線の鮮やかさは、オフセット印刷では出すことのできないオリジナル版画ならではのものである。そして製本が手製本なのである。よく見返しのノドのあたりをみつめると、2か所で3つ目綴じしてあるのが分かる。3000部刊行のシリアルナンバー入り。同じシリーズの『夜の木』(タムラ堂刊)の制作工程を捉えた動画がある。http://www.youtube.com/watch?v=om6i3enGZ8c
                                    
(以上2点、岡本)
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